英名はアイリスで、ギリシア神話の女神イリスにちなむそうです。
イリスが虹を渡って神々のいる天上と地上を行き来する使者だったことから、
『メッセージ』や『良き便り』の象徴とされます。
花言葉は『希望』『信じる心』『良き便り』『知恵』。
日本では、アヤメ(菖蒲)、カキツバタ(杜若・燕子花)、ハナショウブ(花菖蒲)などの種類があり、古典の題材としては、伊勢物語の『八橋』のカキツバタが特に有名です。
三河の名所、八つの橋を渡した八つ橋にて「かきつばた」のご文字を頭において在原業平が読んだ「唐衣きつつなれにしつましあれば はるばる来ぬる旅をしぞ思ふ」の歌に想起されたカキツバタと橋や流水を描いた八橋文様は、絵図や着物、工芸品の文様として古くからさかんに用いられました。
美しいカキツバタの花を見て、着慣れた着物のように親しんだ妻を遠く離れた都に残してこんな遠くまで来てしまったこの旅がしみじみと胸にせまるという、愛しい人を思う気持ちがこもった文様です。
さて、それではどれがアヤメでどれがカキツバタなのだろうというと、
いずれあやめかかきつばた(どちらも優れて見分けがつきにくい)という慣用句のようにとてもややこしいですが、いちおう下記表のような特徴がそれぞれあるようです。
種類 | 花の咲く時期 | 生息地 | 特徴・見分け方 |
---|---|---|---|
アヤメ(菖蒲) | 5月上旬 | 山野など乾燥地 | 外側の花びらの付け根近くに網目状の模様があるから「文目あやめ」 |
カキツバタ(杜若・燕子花) | 5月中旬 | 水湿地 | 花弁の根本に白く細い模様がある。「八橋」の歌物語が有名 |
ハナショウブ(花菖蒲) | 5月中旬~6月下旬 | 半乾燥地~水湿地 | 花弁の根本に黄色い模様がある |
※ちなみに菖蒲湯に使われるショウブ(菖蒲)は花が咲かない別の植物だそう。
着物の文様になってしまうとほとんど見分けがつかないので、八ツ橋と描かれていたり流水や水辺の文様と共に描かれてればカキツバタ(杜若)といえるくらいで、あとは好きな花に思いを寄せてお召しになっていただければと思います。
お召しになる季節ですが、袷や単ものであればやはり花の季節の4月半ばころから5月、6月がぴったりかと。
ただ、ほとんどのアヤメ・カキツバタ柄は夏着物や夏帯、浴衣の柄として用いられているので、その場合は涼感を感じさせる文様ということで夏中楽しんでいただけると思います。
涼やかな夏の帯や夏着物
籠目文様の霞に杜若の花が凛と美しい藤色と象牙色の二色で染め出された単の帯
生成り色に若草色の濃淡が爽やかで、素朴な愛らしさをそさう涼しげな麻の夏帯
白と藤紫のさっぱりとした色使いが涼を運ぶ紗の夏帯
浅葱色にきりりと映える黒と紅の色合いが大正浪漫な遊び心をさそう絽の夏着物
和の風情を楽しむ浴衣
すっきりと伸びる葉を鹿の子型染めであらわした紺と白のきっぱりとした色使いも粋な注染浴衣
すいっと飛ぶ蜻蛉が夏の風情をいや増す注染レトロ浴衣
蛇籠に流水が水辺の風情を運ぶ杜若文様の注染レトロ浴衣
優美な流水に群れ咲く杜若の花が古典的な情趣をさそう綿紅梅の浴衣
モダンでアートなデザインの浴衣
放射状のラインと影絵のような花がアーティスティックな注染浴衣
洋画のような筆致とモダンな色使い、ろうけつ染めを思わせる幻想的な氷割れ模様が独特の詩情を生み出す注染浴衣
グラフィカルなデザインと、白と赤のモダンな色選びがアート遊び心をさそう注染浴衣
チャイクロの絵本のようなノスタルジックな詩情とモダンなセンスが光るキュートなデザインの注染浴衣
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