レトロシネマの着物姿に思いを寄せて

原節子さんの宝石のような美しさに思いをはせて、昭和のレトロシネマにお着物が日常だった頃の着物姿を探してみました。

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1949年 小津安二郎監督 「晩春」

お茶室を額縁にした一幅の絵のような美しいシーンから始まるこの映画は、原節子さんが小津監督の映画で「紀子」という名前のヒロインを演じる最初の作品。

父一人、娘一人が互いを思いやりながら暮すささやかな家庭。
娘の紀子の結婚話が持ち上がって・・・・

鎌倉の風景や、日本家屋の暮らしの一つ一つの描写もしみじみと美しい映画です。

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冒頭の御茶会の場面

原節子さんのたおやかなお着物姿と所作の美しさにため息がでるよう

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さりげなく帯を直すしぐさもこのうえなく愛らしい

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この時のお着物はカラーだとこんな感じのよう。
帯が象牙色~金色系を予想していたので、緑は意外!
(映画の帯とポスターの帯がやや違う気も・・・)

薄縹色に紅の小花散る小紋に緑と金の袋帯をあわせて華やかに。
この色合わせは昭和ならでは。

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お父さんの再婚相手候補として、娘の紀ちゃんをやきもきさせる三宅邦子さん演じる未亡人の装いもとても素敵。

おおぶりの楓の葉の総柄の着物に、可憐な花がストライプを描き出すヨーロピアンでモダンなムードただよう帯をコーディネート。

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お能鑑賞の時は、控えめな菱模様の小紋に、御茶会の時と同じ帯をあわせて。

品よくおだやかでいて地味になりすぎたり暗くならない、ほがらかな雰囲気が感じられる装いだなあとしみじみ。

そして、結婚物語といえば待ってましたの花嫁姿♪

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心が洗われるような原節子さんの清らかな美しさにうっとり。

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そして少し時代が下がって・・・・

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1960年 同じく小津安二郎監督 「秋日和」

この映画では、原節子さんは結婚話をすすめられる娘さんのお母さん役。

娘の結婚を後押しするために、お母さんも再婚を・・・という話で、さきほどの「晩春」とは逆の役柄。

大人の女性ならではの、素朴な中にも小粋なお洒落心の効いた普段着コーデはすぐにお手本にしたくなる装いです。

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グレー系の無地に近い渋みのある紬のお着物に、紅型風の素朴で愛らしい飛び柄の染帯をあわせて。帯揚は白ですっきりと、帯締は深紫できりりと粋に♪

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こちらは服飾学校の教師の時のお仕事スタイル。
ナチュラルなカラーのチェックの紬着物に、モダンで大胆な型染めの帯をオン。
どこかエスニックな遊び心の効いたカジュアルスタイルです。

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この服飾学校のノスタルジックな内装が大好きです。

そしてやっぱり結婚ものといえば花嫁姿!

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おお、すでに白無垢の時代なのですね。

司葉子さん演じる娘さんの花嫁姿も美しい。

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そして原節子さんの黒留姿。

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予想以上にモダンなコーデ。

絵本のような枝葉模様の黒留袖にヨーロピアン装飾模様の袋帯がなんてお洒落!

時代を経ても色褪せない画面の一瞬一瞬に惹きこまれる美しい姿に、心に染み入るような物語の中で出会える幸せに感謝をこめて。

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