【着物色図鑑】緑色

着物の一枚一枚は、緑、赤、青といってもまったく同じ色はないくらい、ニュアンスの異なる様々な色で織られ、染め出されています。
そんなお着物の色の魅力をご紹介。

緑色の特徴

第一弾は、木々の葉重なりあう深い森、森の緑をうつす湖、萌えいずる若葉など、幽幻で深みのある趣や静謐な美しさ、瑞々しく初々しい詩情を感じさせてくれる様々な緑の美しさを楽しむお着物です。

優しさや柔らかさを感じさせてくれる黄系の色味から、凛とした気品や静かな詩情を感じる青系の緑まで様々な緑をご紹介。

●中性色なので、明るい色にも暗い色にも、暖色系にも寒色系にもあわせやすく、あわせる色によってイメージを変えて楽しめる便利なカラー
●優しさや柔らかさを感じさせてくれる黄系の色味から、凛とした気品や静かな詩情を感じる青系の緑まで色合いの違いによっても異なる印象が楽しめる
●リラックスした心地良いイメージ

青磁色

婦人　「真美人」　楊洲周延　明治30

青磁の器のようなクリーミーな、青みをおびた淡く優しい緑地に、葉の総模様の着物をまとう錦絵の美人姿。

やわらかな青磁色は、瑞々しい愛らしさがありつつけっして子供っぽくならず、はんなりとした詩情ただよう品の良い大人の装いをつくりだしてくれます。

若菜色

春の野に萌え出でる若菜のような明るくやわらかな淡い黄緑色は、華やかな中にも楚々とした優しい風情を感じさせてくれます。

若草色

さわやかな風に揺れる葉ずれの音や、小鳥の鳴き声がどこからともなく聞こえてくるような、春の野の若草を思わせるさわやかで明るい黄緑色。和の色合いらしいほのかな愁いを感じさせてくれ、子供っぽくなったり派手になることのない綺麗色です。

青朽葉色

青葉のすがすがしい色あいをほのかに残した初秋の落ち葉のような茶色をおびた侘び寂びの詩情のある黄緑。小粋な情趣と渋みがありつつ地味になりすぎず、さりげないお洒落感を演出してくれます。

緑青色

東山魁夷の描く森の緑を思わせる青みをおびた深みのある緑は、大人っぽく落ち着きの中にも遊び心と物語の広がりを感じさせてくれます。

緑色

日本の森を思わせる深みのありつつ瑞々しい緑。大胆なグラデーションも派手になったり奇抜にならないのが緑ならではの魅力です。

花緑青

薄い藍染の色（縹はなだ色）と岩緑青の美しい緑をとけあわせたような綺麗色です。

青碧

常緑樹の葉陰を映す湖を思わせる青みをおびた深緑は、シックでいて地味にならず、粋な格好良さの中にもはんなりとした色っぽさが感じられます。

高麗納戸・深緑

四世松本幸四郎（屋号が高麗屋）が「鈴々森」の幡随院長兵衛の役の合羽に用いた暗い納戸色（緑色を帯びた深い青色）に由来する灰がかった暗い青緑色。
光の加減で、濃紺にも黒にも深い緑にも見え、黒や紺に近いベーシックアイテムとしての使い勝手の良さに、さりげない個性とノスタルジックな詩情がプラスされた大人の女性ならではの魅力を高めてくれる万能カラーです。

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